やったこと
ジャパンエンジンコーポレーション・川崎重工業・ヤンマーパワーソリューション・商船三井・商船三井ドライバルク・尾道造船・日本海事協会の7社が、NEDO「グリーンイノベーション基金事業」の支援を受けて世界初の大型商船向け水素燃料エンジン「6UEC35LSGH」を開発。2026年9月8日に陸上工場試験を完了し、水素混焼率95%以上・GHG削減率95%以上を実証した。
具体的な手順・工夫
技術的アプローチ
- 従来型ディーゼルエンジンをベースに水素対応改造(既存ベースを活かして開発リスクを低減)
- 川崎重工が開発した「MHFS(Marine Hydrogen Fuel System)」からエンジンへ水素を供給
- 安全設計:水素漏洩防止構造と配管の二重管化を採用し、万一の漏洩を防止
- 日本海事協会立ち会いのもとで承認試験を実施し、認証を同時取得
7社体制の役割分担
| 役割 | 担当企業 |
|---|---|
| エンジン設計・製造 | ジャパンエンジンコーポレーション |
| 水素供給システム | 川崎重工業 |
| エンジン開発支援 | ヤンマーパワーソリューション |
| 運航・実証 | 商船三井・商船三井ドライバルク |
| 建造 | 尾道造船 |
| 認証・立会 | 日本海事協会 |
NEDO基金活用のポイント
「グリーンイノベーション基金事業」を活用することで長期的な技術開発リスクを分散。単一企業では負担しきれないR&Dコストを複数企業・国の支援で分担した。
得られた結果
- 水素混焼率:95%以上(陸上試験で達成)
- GHG削減率:従来の重油燃料エンジン比で95%以上削減
- 次のステップ:2027年1月に1万7,500重量t型多目的船に搭載(尾道造船)、2028年4月に実船実証試験開始予定
他社が参考にすべき点
- 海運業界でのGHG削減は「ゼロエミッション燃料への転換」が主軸。水素・アンモニア・LNG等の選択肢を今から評価すべき段階にある
- NEDOグリーンイノベーション基金は製造・海運・化学等のハードテック脱炭素投資に使える。採択事例として本件は参考になる
- 認証機関(日本海事協会等)を開発当初から巻き込むことで、実運航許可取得・認証取得を開発完了後に別途取りに行くムダが省ける
- 「エンドユーザー(船社)+エンジンメーカー+システムメーカー+造船所+認証機関」の5者体制が海運脱炭素技術開発の成功モデル
- 2028年の実船実証→2030年代の商用化という具体スケジュールは、サプライヤー・保険・港湾インフラ企業の投資判断の参考になる
