やったこと
大日本印刷(DNP)がScope3カテゴリー1(購入した製品・サービス)の算定精度を段階的に向上させる「タイプ別分類(T1〜T5)」を設計し、サプライヤーエンゲージメントの実務フレームワークとして公開した。Scope3対応を「設計から実務へ」進めるための具体的な考え方を連載3回(全3本)で解説。
具体的な手順・工夫
T1〜T5の5段階分類:
| 分類 | 活動量 × 排出原単位 | 特徴 |
|---|---|---|
| T1 | 購買金額 × 2次データ(金額単位) | 全体俯瞰の出発点 |
| T2 | 物量データ × 2次データ | 価格変動の影響を排除 |
| T3 | 購買金額 × サプライヤー組織GHGデータ | 橋渡し段階 |
| T4 | 物量・部品構成 × サプライヤーGHGデータ | カテゴリー1以外を除外して配分根拠を明示 |
| T5 | 物量 × サプライヤー製品CFP | 最高精度・削減策の設計・検証が可能 |
実務の3ステップ:
- T1で全体俯瞰:サプライヤー名・取引金額・排出量・業種区分が並ぶリストを作成
- 優先順位づけ(3軸):排出寄与の大きさ/データ提供意欲/調達戦略上の重要性で評価
- 3層管理設計:俯瞰層(T1維持)・重点層(T2→T3へ移行)・共創層(T5を目指す)に分類し、各層に適したタイプ別分類を設定
重点層へのアプローチでは、物量換算でT2に移行後、サプライヤーとの対話でT3・T4への移行可能性を探る。共創層では代表SKUから始めて段階的にCFP対象を拡大する「段階展開型」が現実的。
得られた結果
限られたリソースで削減可能な領域を特定し、SSBJ・第三者保証への対応にも活用できる基盤が構築できる。全サプライヤーへの一斉1次データ要求という非現実的な対応を避けられる。
他社が参考にすべき点
製造業・調達部門ならT1で全体把握→戦略的な優先順位づけ→共創層への段階移行という流れが実務に直結する。協議フォーマット・データテンプレートを共通化することで社内外の負荷を最小化できる。中堅企業は俯瞰層・重点層の2層構造から始めると運用負荷が低い。
