実装ステップ
Salesforceは2026年9月、Milkywire(スウェーデンの気候ソリューション仲介)と連携し、8社の初期段階カーボン除去(CDR)サプライヤーと計3,600トン超のプレ購入契約を締結した。これはFirst Movers Coalition(FMC)の枠組みの下、2030年までに1億ドルのCDR購入を公約する戦略の一環である。
企業CDR調達の実装ステップ
ステップ1: CDR技術ポートフォリオの設計
異なるリスク特性を持つ技術を組み合わせる:
| 技術タイプ | 今回の8社 | 特性 |
|---|---|---|
| 直接空気回収(DAC) | Sirona Technologies, Yama, Brineworks, Deep Sky | 恒久性高・コスト高・スケール中 |
| 海洋アルカリ度向上 | PRONOE, Alkamy Carbon | 新興・測定複雑・コスト中 |
| バイオマス貯留 | Carba, Cowboy Clean Fuels | 自然ベース・恒久性中 |
ステップ2: 初期段階技術への「プレ購入」戦略
- プレ購入(Pre-purchase)契約 — 技術がまだ初期段階のうちに購入契約を結ぶことで、スケールアップを資金面で支援
- 「ファーストムーバー」として後の価格低減の恩恵を受ける
- First Movers Coalitionなどの集合購買メカニズムを活用してリスク分散
ステップ3: 品質評価基準の設定
各技術に対して:
- 恒久性(100年以上の炭素固定化が保証されるか)
- 追加性(この購入がなければ実現しない削減・除去か)
- モニタリング・報告・検証(MRV)体制の確認
- 地政学的リスクと地域多様性の評価
ステップ4: First Movers Coalitionへの参加検討
- WEF主導の集合購買プラットフォーム
- 参加企業が共同でCDR調達コミットメント(総量・比率)を設定
- 個別企業には難しい「市場シグナル」を新興技術に送る
使うツール・標準
- First Movers Coalition(FMC)(WEF・米国務省主導)
- Milkywire(CDR取引仲介プラットフォーム)
- ICVCM Core Carbon Principles(クレジット品質評価)
- 参照: SBTi Beyond Value Chain Mitigation(BVCM)ガイダンス
成功のポイント
- ポートフォリオ分散でリスク管理 — 単一技術への集中ではなく複数のCDR技術に分散投資
- 「初期段階技術への先行投資」が長期コスト削減につながる — CDR市場は規模拡大でコストが急低下する傾向
- BCG調査でバイヤーの支払意欲が高まっている — 高品質CDRへの需要増で価格プレミアムは維持・拡大方向
日本企業への適用
日本ではSBTi認定取得企業がBVCM(バリューチェーン外の緩和策)としてCDRクレジットを活用するケースが増えている。Salesforceのアプローチは「2030年に向けた複数年コミットメント+多様な技術ポートフォリオ」という構造で参考になる。国内ではGXリーグの炭素クレジット市場や経産省のカーボンリサイクル実証事業との連携も視野に入れたい。
